1分子であることの証明-02

残念ながら,我々は相互作用しているイベントが1分子なのかどうなのかを直接確かめる方法はありません.
しかし,ただ一つ,そのイベントの特徴を判別するものがあります.
それは,
  そのイベントが起こるか,起こらないか

というものです.

先の例でも,ガラス上にミオシンをまばらに固定しているので,
 たまたまガラス上にはミオシンがいない
状態もあり得るわけです.
そのときには,どんなにアクチンフィラメントを近づけてもイベントは起こりません.
もちろん,そのようなイベントが起こらない確率はガラス上に固定するミオシンの量に依存しますね.
ミオシンの量を多くすればするほど,0である確率が低くなります.
このことを数式化したのが,あのポアッソン分布なのです.

では,イベントが0である場合の確率を計算してみましょう.

つまり,固定するミオシンの量,<n>,が多くなればなるほど,0のイベントの確率は指数関数的に減少していきます.
また,ミオシンの量を0にすれば,つまり,<n>=0,だと0のイベントの確率は1となり,イベントは起こりません.

では,イベントが起こる確率は,単純に,

となります.

これをグラフに記すと,

となります.
横軸は,<n>,となります.
先の実験では,固定するミオシンの量となりますね.

では,次にここから1分子である確率を見積もりましょう.

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